現代と東洋、それぞれの不妊治療の基本を知る
「不妊治療」と聞くと、身構えてしまうかもしれません。しかし、基本を知り、自分たちに合ったステップを踏むことで、その道のりはぐっと明確になります。
不妊治療は決して特別なものではなく、妊娠という目標を達成するための手段の一つです。ここでは、不妊治療の基本的な流れと、鍼灸・漢方がその成功をどうサポートできるのかを解説します。
I. 不妊症の定義と治療を始めるタイミング
不妊症とは?
一般的に、避妊をせずに夫婦生活を送っていても1年以上妊娠しない状態を「不妊症」と定義します。ただし、女性が35歳以上の場合は、時間的猶予が少ないため、半年を待たずに検査を始めることが推奨されています。
治療の基本的な流れ
不妊治療は、以下のステップで進められることが一般的です。
- 基礎検査: 男女ともに体質や精子の状態、排卵の有無などを確認します。
- タイミング法: 基礎体温や超音波検査で排卵日を予測し、夫婦生活のタイミングを合わせます。
- 人工授精(IUI): 排卵日に合わせ、調整した精子を直接子宮内に注入します。
- 体外受精(IVF): 卵子と精子を体外で受精させ、受精卵(胚)を子宮に戻します。
多くのケースで、負担の少ない治療から段階的にステップアップしていきます。大切なのは、夫婦で話し合い、無理のないペースで進めることです。
II. 成功のカギは「体質改善」による土台づくり
不妊の原因は、子宮や卵巣の直接的な問題だけではありません。全身の体調不良や基礎疾患が、妊娠しにくい体質を作り出しているケースが多くあります。
1. 不妊につながる基礎疾患と体質の例
ホルモンや代謝に影響を及ぼす次のような要因は、間接的に生殖機能に悪影響を与えます。
- 甲状腺などの代謝の疾患: ホルモンバランスが乱れ、排卵障害の原因になることがあります。
- 若年期の過度なダイエット: 栄養不足により「血(けつ)」が不足し、無月経や生理不順につながった過去がある。
- 胃腸が弱いなど虚弱体質: 栄養を十分に吸収できず、妊娠に必要な体力や「血」を補給できていない状態です。
2. 妊娠体質を支える東洋医学の深い視点
東洋医学では、上記のような全身の不調を「気」「血」「腎」という三つの要素のバランスで捉え、全身を根本から整えます。
- 「気(き)」の巡りと心の安定:「気」は、体を動かすエネルギーであり、同時に精神的な活力でもあります。「気」が不足すると疲れやすくなり、体力が消耗します。また、不妊治療中のストレスや疲労は「気」の流れを滞らせ、自律神経の乱れを引き起こします。鍼灸は、この乱れを整え、心をリラックスさせることで、ホルモンバランスの安定をサポートします。
- 「血(けつ)」の充実と質の向上:「血」は、子宮や卵巣、精巣といった生殖器に栄養を届ける大切な源です。漢方で「血」を増やし(補血)、鍼灸で血流を改善(活血)することで、確実に子宮内膜や卵子・精子に栄養を届け、その質を底上げします。
- 「冷え」の解消と「腎(じん)」の強化:生殖機能の源である「腎」の働きは、加齢との関連が最も強く、年齢とともに自然に衰えていくものです。このため、年齢が上がるにつれて「冷え」が加わると、血流を妨げ、腎機能の低下の最大の敵となります。妊娠力を維持・向上させるためには、漢方による「補腎(ほじん)」のケアは必須だと当店ではお勧めしています。鍼灸と漢方で「腎」を養い、体の活力を高めます。
III. 当店で始める細やかな体質調節
西洋医学的な検査では「原因不明」とされたり、基礎疾患の治療が進んでいても妊娠に至らない場合、それは体質レベルでの微細な不調が残っているからです。
当店では、患者様一人ひとりの「胃腸の強さ」「冷えの程度」「過去のダイエット歴」といった細かな情報を踏まえ、漢方薬で体の虚弱な部分をピンポイントで補い、鍼灸で血流と自律神経の働きを調整します。
不妊治療は長期戦になることもありますが、ご自身の体と向き合う貴重な時間でもあります。当店で細やかな体質調節を行い、西洋医学の治療効果を最大限に引き出し、妊娠しやすい万全の体づくりを始めましょう。まずはお気軽にご相談ください。

